BLEタグは「どれくらい近いか」だけでなく「どの方向か」がわかれば、はるかに有用になります。本記事では、BLEタグがBluetooth 5.1の測向(Direction Finding)—到着角(AoA)と出発角(AoD)—をどう使って距離だけでなく方位を推定するかを解説します。
Bluetooth測向とは
測向は通常のパケットに定常トーン拡張(CTE)を付加します。BLEタグがこれを対応していれば、受信機は信号の角度を計算でき、大まかな近接から真の方位へと進化します。
定常トーン拡張(CTE)
CTEはペイロード後に付く変調されていない正弦波です。BLEタグがCTEを送信すると、受信アレイは複数のアンテナで搬送波のIQをサンプリングし、位相を導出できます。
到着角(AoA)
AoAでは、BLEタグは単純な送信機として動作し、アンテナアレイを持つロケータが素子間の位相差を測って到来角を計算します。これはRTLSの固定ゲートウェイに適しています。
出発角(AoD)
AoDでは、BLEタグがアンテナアレイを搭載し、ロケータは単一アンテナです。タグは素子ごとにCTEを放射し、スマホが出発角を計算します。ハンドセット主体のナビゲーションに最適です。
IQサンプリングと位相
スイッチがCTEを各アンテナへ切り替え、受信機はI/Qサンプルを取得します。BLEタグの導入は、精度の高い位相によりサブ度数の角度を解決します。
AoAとRSSI三角測量の比較
RSSI三角測量は多くのアンカーを必要とし、マルチパスの影響を受けます。AoAを使うBLEタグは、より少ないデバイスで高い精度を得られます。ただしアンテナ設計は重要です。
精度を左右する要因
基板レイアウト、約半波長のアンテナ間隔、マルチパスが誤差を支配します。設計の良いBLEタグは、位相の忠実性を保ちつつアレイをコンパクトに保ちます。
用途とRTLS
倉庫、病院、工場はAoAのBLEタグシステムを、サブメートル級のリアルタイム位置特定、資産追跡、経路案内に活用しています。
まとめ
測向はBLEタグを「近くにいる」から「あちらの方向」へと昇華します。CTE、AoA/AoD、そして丁寧なRF設計により、角度を意識した測位が実用になります。